Wednesday, December 28, 2011

コルモスに参加して

「現代における宗教の役割研究会」(Conference On Religion and Modern Society - CORMOS)の第58回研究会議(京都国際ホテル・2001年12月26-27日)に参加して感じたことを書きます。

石蔵 文信(いしくら ふみのぶ)は、医者として「巨人性うつと阪神性不安」という著書に書いているように、男性更年期外来の人は両方を抱えている。


読売巨人軍(とそのファン)は、常に勝つことを義務付けられている(と思いこんでいる)。幸せ慣れした人は突然の不幸に弱く、些細なことに傷つく。つまずいたことのない人は転び方がわからずに大怪我をする! それが「巨人性うつ」なのだそうです。「つまずいたら、つまずく前のように走ろうと無理をしてはいけない。少し症状が良くなると、すぐ元のように働こうとする。そして、ぶり返して元の木阿弥になるのである。」・・・典型的なうつ病の経過を、見事に巨人ファンの心理を通して解説しておりました。

一方、阪神です。「いつも負けているのに今年は優勝するかもしれない?」・・・そんな絶好調の真っ只中での阪神(とそのファン)の心理です。慣れない幸せに恵まれると落ち着かない、不安でたまらない。今日は良いけど明日から全部負けるかもしれない。この幸せの先にもっと大きな不幸があるかもしれない!といつも不安に思うのです。これが「阪神性不安」です。不安になると過去の失敗ばかりに気をとられて「また失敗するのではないか」と悪い予感にとらわれる。これを避けるには過去の良いことばかり思い出せばいい。

不安と言われると私はゲーテの『ファウスト』を思い出します。メフィストフェレスと取引をしたファウストは感じたのは不安ではなかったかと思います。

今月は真珠湾攻撃の70周年に当たります。これについて朝日新聞(12月8日朝刊)に東大の加藤陽子教授のインタビューが載っていました。真珠湾攻撃に終わったサイクルは明治維新に始まるというのです。そして、「今の日本社会の状況が、昔のこの時代に似ていて心配です。」
明治維新というと、「追いつけ追い越せ」、「和魂洋才」、「富国強兵」、「尊皇攘夷(そんのうじょうい)」というスローガンを思い出します。西洋の技術(洋才)だけ輸入し、大和魂を守るといいながら、実はそこにメフィストフェレス的な取引はなかったかと思われます。大村さんが「敗戦後の日本に輸入された欧米の宗教文化」を嘆いておられるが、戦後ではない、明治でしょう。明治において欧米から技術を輸入しながら、拒んだのは宗教ではないか。技術と富と権力にメフィストフェレス的なものが付いて回るのは分からなかったのか。今やっと分かるようになったのか。

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