Sunday, November 23, 2014

聖煙都の第700号によせて

聖煙都の第700号によせて
                                                A・ボナツィ
                                                
典礼文には、「国と力と栄光は限りなくあなたのもの」という一節がある。これは、自分も含めてすべてが神のもの、ということを表現している。自分のいのちの有り難さを自覚すれば、自分を支えているあらゆるものごとが有り難く感じられ、尊く感じられてくる。ものごとの尊さが分からないと、自分の尊さも分からないのである。
私達は、平生の暮らしのなかで、自分が今日あるのは、大宇宙の根源にはたらいている神の力と、またその力の現れとしての、この地上におけるあらゆる人と物との恩恵によって、今日ここにこうして一人の人間として生かされている。だから、たとえば、食前には「いただきます」と感謝をこめて挨拶を唱える。そこに、食とあらゆる恩恵に対しての調和が生まれる。私達は、すべてがよく調和した、「有り難い」世界に生かされて生きているのだが、なかなかそれに気づけない。ところが、「ありがとうございます」と常に口にしていると、一日一日の有り難いこと、生かされていきていることが、少しずつ自覚できるようになってくる。

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