Sunday, February 27, 2005

アナロギアの用法についてアクィナスが持っていた器用さ

「アクィナスはアナロギアを頻繁に用いている。特に被造物が創造者に語り掛けようとするとき、また創造者について語ろうとするときに、この方法を多く用いている。アクィナスの活動に先立つ1世紀間に、聖書の表現様式についての綿密な研究が進み、多様な言語現象の一つ一つを分析する方法が開発されていた。アクィナスはその成果を最大限に利用することができ、神学の領域でアナロギアを繊細を極めた方法で用いたのであった。その後、スコラ学者たちはこの問題についてのアクィナスの業績を分析整理してアナロギアの理論を構築しようとした。その際、アクィナスがアリストテレスに倣って『比例的アナロギア』と『帰属的アナロギア』とを明瞭に区別していたこともあって、この区別が特に強調された。しかしアクィナス自身は両者を時と場合に応じて使い分けていただけであって、特に理論というようなものは持っていなかった。アクィナスの著作からアナロギアに関する『教説』を引き出すようなことをすると、アナロギアの用法についてアクィナスが持っていた器用さを見失ってしまうことになるであろう。カエタヌス(1469-1543)に対する批判の要点もそこにあった。」(D. BURRELL、「アナロギア」、キリスト教神学事典、教文館、1995年、28-29頁)

No comments: