Thursday, August 07, 2008

EUROCENTRISM?

ヨーロッパの伝統は日本の伝統ではないが、しかし、明治維新以来日本はヨーロッパとアメリカから科学技術だけでなくその文化や思想をも(換骨奪胎したり浅薄に理解したりしながら)受容してきたのであり、近代以降の日本文化はそうして受容された西欧文明なしには理解できない。ヨーロッパの伝統はもう以前から日本の伝統の一部と言っていいのである。プラトンやシェイクスピアはわれわれ日本人にとっても古典となった。麻生建自身が当の論文でガダマーの解釈学やヤウス〔Jauss〕の受容美学をある仕方で理解して日本に紹介したという活動も、そのような文明史的過程を構成するひとつの出来事なのである(そしてもちろん、この訳者も、そしてこの「訳者あとがき」も)。(巻田悦郎、「訳者あとがき」、ガダマー著『真理と方法II』、法政大学出版局、2008年、(22)頁)

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