Tuesday, May 16, 2006

GOOGLE Googol

神の視点と世界政府 冠木雅夫(編集局)

 インターネットの世界は常に変化しているが、このところ注目の的になっているのがグーグルである。8年前、米スタンフォード大の大学院生2人で設立したベンチャー企業が、新しい検索や広告などの仕組みを次々に導入しマイクロソフトを脅かす存在になってきたからだ。
 グーグル(Google)は10の100乗を表すゴーゴル(googol)という数学用語から来ている。全宇宙に存在する粒子の総数よりも大きいと言われる数だが、「世界中の情報を体系化し、アクセス可能で有益なものにすること」という社是には似合った命名といえる。
 評判の「ウェブ進化論」(梅田望夫著、ちくま新書)によると、グーグルに勤める梅田氏の友人は、「世界政府」があるとして、そこで開発しなければならないシステムを全部作るのがグーグル開発陣の使命だと語ったそうだ。同社の30万台のコンピューターが世界のウェブ上の情報を取り込み再編成し続けている。梅田氏がいう「全体を俯瞰(ふかん)する神の視点からの世界理解」が目指されている。
 「グーグルGoogle」(佐々木俊尚著、文春新書)は「破壊者か全能の神か」とその功罪を論じている。ウェブビジネスの新展開を紹介する「ウェブ2.0ブック」(小川浩・後藤康成著、インプレスジャパン)も旧約聖書に登場する怪物リバイアサンに例え「あまりに巨大化することは望ましくはないが、なくてはならない存在」と位置づける。
 国家を計画・管理し尽くすという共産主義の夢は破れたが、ウェブ上の「世界政府」の夢はこれからどう展開していくのだろうか。
毎日新聞 2006年5月16日 0時03分

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