Saturday, January 02, 2010

塩野七生 『十字軍物語』全4冊が今夏刊行開始

塩野七生 『十字軍物語』全4冊が今夏刊行開始


一月一日の新聞に全面広告が掲載されていました。新シリーズ『十字軍物語』全4冊が新潮社より今夏刊行開始予定です。

今夏刊行予定 『絵で見る十字軍』
今秋刊行予定 『十字軍物語1』
以下2011年刊行予定 『十字軍物語2』『十字軍物語3』


「21世紀の今なお、世界情勢の多くは、キリスト教世界とイスラム世界の対決によって動いている。しかし日本はこのどれにも属していない。にもかかわらず影響を避けることはできない状態にある。ならばこの二つの世界の、今に至るまでの一千年にもわたって続いている対決の歴史を振り返ってみるのも、この二つの大波をかわし乗り切っていいくうえでの一助になるのではないかと考えたのだった。

『わたしは常に、自分自身の想いに忠実に生きてきた。だから、他の人もそうであって当然だと思っている。』(ユリウス・カエサル)

これが古代のローマ人の考えた『寛容』だった。だがその後は、当然ではない中世に入る。私はこの中世を『ローマ人亡き後の地中海世界』と題して、二冊にまとめた。キリスト教世界とイスラム世界に分かれた時代を『海賊』をキーワードにして描いてみたのだった。そして第二の試みのキーワードは『聖戦』となれば、描き出す対象は十字軍になるしかない。今年から始まる、十字軍四部作である。『ローマ亡き後の地中海世界』でのテーマは南ヨーロッパのキリスト教徒と北アフリカのイスラム教徒の対決にあったが、『十字軍物語』では、北ヨーロッパのキリスト教世界と中近東のイスラム世界の対決になるだろう。

そしてもしもあなたに、これを読み続ける好奇心と忍耐があるとしたら、そのときはあなたも考えると思う。この二つの一神教の世界に比べれば、わが日本の多神教の文明も捨てたものではないね、と。

このことに納得いって初めて、われわれ日本人は、キリスト教徒とイスラム教徒との間に立っての説得力をもつ仲介者になれるのではないかと想っている。部外者は当事者たちの長い歴史を知って初めて、彼らの『想い』を共有しながら、その調停に乗り出せるのであるから。」(塩野七生)

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